新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、室内の空気を綺麗にするために空気清浄機の導入を考えている会社も多いのではないでしょうか。しかし実際に製品を比較しようにも、どこに着目すればよいのか分からないものです。
そこでこの記事では、オフィスに空気清浄機の設置を検討している方に向けて、空気清浄機の種類や役割について紹介するとともに、選ぶ際のポイントや効率的に稼働させるコツを解説します。
4種類の空気清浄機
空気清浄機には、主に以下の4種類があります。
【4種類の空気清浄機】
- 空気清浄機
- 加湿空気清浄機
- 脱臭機
- 空間清浄機
ここでは、それぞれの種類に見ていきましょう。
空気清浄機
空気清浄機は、吸い込んだ空気を内蔵されているフィルターでろ過した後、その空気を吐き出すことを繰り返し行うことで、室内を綺麗に保つ電化製品です。製品によって対応できる部屋の広さを示す適用畳数やフィルターの種類、機能などに違いがあります。
空気清浄機は空気中のホコリや花粉、ウイルス、アレル物質はもちろん、タバコやペットなどの臭いなどの除去効果を持ちます。また、近年話題になっているPM2.5やエアロゾル対策としても注目されています。健康被害を発生させる恐れがある空気中の物質を取り除き、リスクを低減させることが大きな役割だといえるでしょう。
加湿空気清浄機
加湿空気清浄機とは、空気清浄機の機能に加湿機能をプラスした製品のこと。加湿機能を利用すれば、鼻や喉の乾燥を避けられるため、風邪やインフルエンザなどの感染予防にも効果が期待できるでしょう。さらに室内に適度な湿気があれば、静電気対策やハウスダストの飛散防止にもつながります。
ただし、加湿空気清浄機は通常の製品と異なり水を使用するため、カビや水垢、臭い、雑菌などの発生リスクに注意が必要です。トレーの中に水を入れっぱなしにしていると不衛生になるため、通常の空気清浄機よりもメンテナンスに手間がかかる点は事前に理解しておかなければなりません。
脱臭機
脱臭機は、チリやホコリなどの菌・粒子から出る臭い分子を分解・除去し、部屋内の嫌な臭いを取り除くことに特化した製品です。脱臭機には、オゾンや触媒によって分解する製品や、放電によって酸素のクラスターを発生させてイオン分解する製品などがあります。タバコを部屋で吸う方や、ペットを飼っていて部屋の臭いがなかなか取れないという方には、脱臭機がおすすめでしょう。
空間洗浄機
空間清浄機は、空気中に次亜塩素酸をはじめとする除菌効果がある物質を放出し、空気の汚れを綺麗にする製品です。除菌効果がある物質を放出することで、空気中の細菌やウイルスを除去できるため、オフィスでは感染症対策の一環として、空間清浄機が使用されるケースも多々あります。
オフィスに置く空気清浄機の役割
オフィスに置く空気清浄機には、主に以下の役割があります。
【オフィスに置く空気清浄機の役割】
- 花粉対策
- PM2.5対策
- 加湿対策
- 臭い対策
花粉対策
空気清浄機をオフィスに設置することで、花粉対策につながります。空気清浄機が花粉やホコリを高性能なフィルターを通してキャッチし、空気を綺麗にしてくれるのです。
特にエントランスの付近に設置すれば、外から入ってくる花粉をキャッチしてくれます。エントランスで上着や紙などについた花粉を払うことで、空気清浄機が吸い取ってくれ、オフィス内への花粉の侵入を防げる可能性が高くなります。花粉がひどい時期は、花粉症対策に特化した製品を活用することをおすすめします。
PM2.5対策
PM2.5対策にも、空気清浄機の活用がおすすめです。PM2.5は粒子の大きさが2.5μm(マイクロメートル、1マイクロメートル=1ミリの1000分の1)以下と非常に微細であり、人の肺に入り込むと気管を通過して肺胞に到達することもあります。非常に細かいため室内にも簡単に入り込んでしまうことから、空気清浄機での対策が効果的です。
PM2.5は花粉よりもはるかに粒子が細かいため、HEPAフィルターをはじめとする高性能フィルターを活用することで対策できます。近年ではPM2.5対応製品も販売されているため、対策を重視するのであれば特化した製品を活用するのが望ましいでしょう。
加湿効果
空気清浄機の役割としては、オフィスフロア内の加湿も挙げられます。加湿機能付きの空気清浄機であれば、空気を綺麗にしながら加湿することが可能。喉や鼻の乾燥を防ぐことで、インフルエンザや風邪等の感染予防につながります。従業員の健康を考えると、加湿効果の有無は非常に重要でしょう。
また、フロア内の加湿を行うことで静電気の発生抑制にもつながります。さらに、フロア内で会話をすることが多い職種においても、フロア内の加湿は欠かせません。ただし、水の使用により不衛生になるため、しっかりとメンテナンスをする必要があります。
臭い対策
臭い対策も、空気清浄機が担える役割の1つ。空気中に漂っている臭いの原因物質を捕集したり、消臭したりすることで臭いを抑えます。
また、活性炭フィルターが備わっている空気清浄機であれば、高い消臭効果が見込めます。活性炭フィルターは吸着力が高く、非常に微小な臭い物質もしっかりと吸着可能。ただし、タバコの場合は臭いの除去はできますが、有害物質の除去まではできませんので注意してください。タバコの受動喫煙については、別途分煙などの対策を取る必要があります。
オフィス向けの空気清浄機を選ぶ際のポイン
オフィス向けの空気清浄機は、以下のようなポイントに注目して選択することをおすすめします。
【オフィス向けの空気清浄機を選ぶ際のポイント】
- 適用床面積
- コスト
- レンタル
- 機能
適用床面積
オフィス向け空気洗浄機を選ぶ際のポイントとしてまず挙げられるのが、適用床面積(適用畳数)です。適用床面積は日本電機工業会規格で定められた基準であり、「30分で規定の粉じん濃度の汚れを綺麗にできる部屋の広さ」を示します。
一般的には、どの製品にも「最大適用床面積」が記載されています。適用床面積が大きいほど力強く、空気を綺麗にする効果が高いといえます。
空気洗浄にかかる時間が30分でよいなら、オフィスの床面積と同じ最大適用床面積の製品を選びましょう。ただし、もし綺麗になるまでの時間をなるべく短くしたいのであれば、表示されている最大適用床面積がオフィスの面積よりも広いものを選択することをおすすめします。
コスト
空気清浄機を選ぶ際には、コストの確認も欠かせません。空気清浄機は購入した際のイニシャルコストだけでなく、部品やフィルターの交換にコストがかかるケースもあります。そのため、製品を購入する前の段階でランニングコストについても確認・比較することがおすすめです。
フィルターや部品の交換の目安は、製品カタログにそれぞれ記載されています。ただし、記載されているタイミングはあくまで目安であり、実際には使用頻度や使用環境によって変化するものです。基本的には、効果が低くなってきた段階で交換することが推奨されているため、空気清浄機が効きにくいと感じ始めたら交換を検討しましょう。
レンタル
空気清浄機には、購入だけでなくレンタルする方法もあります。レンタルの場合、自社の所有物としては扱えませんが、初期費用を抑えられる上に、必要なくなった場合の処分も簡単な点が魅力的。また、空気清浄機を購入するべきかを判断しきれていない場合も、まずはレンタルで試しに使用した上で購入するかどうかの判断が行えるでしょう。
また、メンテナンスや故障時の修理はレンタル会社が行ってくれるため、手間がかからず、手軽に空気清浄機を利用できる点はメリットでしょう。ただし、長年使用するのであれば購入した方が割安になることもあるため、事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。
機能
空気清浄機を比較する際には、機能の比較ももちろん大切です。これまで紹介した空気清浄機の機能を比較し、自社の用途として適切なものや、最も重視している機能を検討して選択してみてください。
【空気清浄機の主な機能】
- 花粉対策
- PM2.5対策
- 加湿効果
- 臭い対策
空気清浄機の効果を高めるポイント
空気清浄機の効果を高めるためには、以下のポイントを抑えることが重要です。
【空気清浄機の効果を高めるポイント】
- 定期的にフィルターの掃除をする
- 十分なスペースがある個所に設置する
- 24時間稼働させる
- 常に最適な場所に配置する
- エアコンや送風機と一緒に使う
定期的にフィルターの掃除をする
空気清浄機の効果を十分に発揮させるためにまず重要なのが、定期的にフィルターの掃除をすることです。内蔵されているフィルターが、空気中の花粉やハウスダストなどをキャッチして空気を綺麗にするため、使用を続けるとフィルターは徐々に汚れていきます。汚れたまま使い続けるとフィルターが目詰まりしてしまい、捕集効果が低くなってしまうでしょう。
フィルターの耐用年数は、近年の製品では10年程度となっているのが通常。しかし、これはあくまでも目安であり、実際には効果が低くなったと実感したタイミングで掃除、もしくは交換をすることをおすすめします。
十分なスペースがある箇所に設置する
空気清浄機は、十分なスペースがある場所に設置することも大切。部屋全体の空気を循環させることで、初めて空気清浄機は効果を発揮できるためです。そのため、部屋の隅や壁際に設置するのではなく、なるべく広いスペースに置くことをおすすめします。
もしオフィス家具・家電の間に設置してしまうと空気の対流をうまく作れないため、効果が低減してしまう可能性も。なるべく広いスペースの中央付近に設置することが、空気清浄機を効果的に利用するコツです。
24時間稼働させる
空気清浄機を使用するなら、24時間稼働させることをおすすめします。空気清浄機は、何度も空気をフィルターに通すことで、少しずつ空気を綺麗にしていく製品であるためです。人がいる時間帯や空気が悪いと感じたときにのみ稼働させる方もいるかもしれませんが、オフィスに人がいないときに止めてしまうと、その時間帯に入り込んできた有害な粒子がフロア内に漂ったままに。空気清浄機で部屋全体の空気を綺麗にするには、最低でも6時間以上の稼働が必要とされています。
また、人がいない時間帯こそ、空気の乱れがなくハウスダストや花粉が吸い込みやすくなります。そのため、弱運転でもよいので24時間常に稼働させることが大切なのです。
常に最適な場所に配置する
季節に合わせて空気清浄機の配置を考えることも、効率的に利用するコツのひとつ。理由として、冷房と暖房には、気流の違いがあるためです。
基本的に冷たい空気は下降し、温かい空気は上昇する性質があります。この性質を利用し、夏場はエアコンを上向きにして部屋全体に冷気を循環させようとすることが多いため、エアコンの真下に空気清浄機を置くことで空気の循環を促進させることが可能です。
一方で、冬場はエアコンの向きを下向きにしている場合が多いことから、エアコンの向かい側に空気清浄機を置くことで効率がよくなります。季節に合わせて、最適な場所への設置を検討しましょう。
エアコンや送風機と一緒に使う
空気清浄機を使う場合は、エアコンや送風機と一緒に使うこともおすすめ。エアコンや送風機の風によって空気の循環をより強力にできるため、空気清浄機を効率よく稼働させられます。空気清浄機にできるだけ多くの汚れた空気・物質を吸い込ませるためには、エアコンや送風機との併用も検討しましょう。
まとめ
空機清浄機には、集じんや加湿、脱臭などさまざまな機能があります。そのため、オフィスに設置する際の目的や、事情に合わせて最適な製品を選ぶことが重要でしょう。ただし機能面だけでなく、コストや適用床面積などにも注目することが大切です。
この記事を参考に空気清浄機を効率的に活用し、従業員が満足するオフィス環境作りをしてみてはいかがでしょうか。