昨今の新型コロナウイルスの流行をきっかけに、日本における空気清浄機の国内出荷額(2020年)は、前年比で100.7%の増加となっており、大きな伸びを記録しました。そのため、これから空気清浄機の購入を考えている方や、効果を知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、空気清浄機の効果や効率的な使い方について解説します。空気清浄機の購入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
空気清浄機の効果
空気清浄機は、「室内の空気から臭いや粒子を除去する」機能を有する電化製品です。ただし、空気の入れ替えを行う製品ではないことは留意しておきましょう。
例えば、空気清浄機を利用すると、タバコの臭いの元になる粒子(大きさによる)を除去することが可能です。しかし、タバコから発生する一酸化炭素などのガスを除去することは基本的にできません。この場合は換気扇との併用をおすすめします。
では、空気清浄機にはどのような効果を期待できるのでしょうか。ここでは以下の効果について解説します。
【空気清浄機の効果】
- 生活で発する臭いを除去
- ウイルスの除去
- 花粉の捕集
- アレルギー物質の捕集
- 加湿効果
生活で発生する臭いを除去
空気清浄機は、室内にこもりがちな生活臭やペットの臭いなどを除去することが可能です。タバコの臭いや雨の日に洗濯物を部屋干しした際の生乾き臭、キッチンで発生する生ゴミの臭いなどの除去も期待できます。
これらの臭いは、一般的に粒子が大きいとされています。主な空気清浄機はフィルターを用いて脱臭するため、粒子が大きいものはフィルターに吸着しやすく、臭いを除去することが可能です。
ただし、タバコなど、臭いが強いものの除去については全ての空気清浄機に効果が期待できるわけではありません。脱臭効果が高いとされている「活性炭フィルター」を搭載しているモデルであれば、タバコの臭いの除去も期待できるでしょう。製品選びの際はカタログや公式ホームページ等で機能面を確認することをおすすめします。
ウイルスの除去
空気清浄機の中には、ウイルスの抑制に対して一定の効果が期待できる製品があります。家電量販店や通販サイトにて個人が購入することも可能です。ウイルスの抑制を目的に空気清浄機を購入する場合は、性能が高いものを選ぶとよいでしょう。特に「HEPAフィルター」などを使用するモデルであれば、ウイルスの捕集や低減について期待ができるでしょう。
HEPAフィルターとは、日本産業規格が定めた条件をクリアした高性能空気フィルターのこと。0.3μmの粒子に対し、99.97%以上の粒子捕集率が期待できます。咳などの飛沫は0.5μmとされているため、それらの捕集をしたい場合は、HEPAフィルター搭載の空気清浄機を選択するのがおすすめです。
花粉の捕集
環境省の資料によると、日本人の45%が花粉症(スギ花粉は38.8%、その他の花粉症は25.1%)を有しているとされています。そのため、花粉の捕集を空気清浄機に期待する方も多いのではないでしょうか。
空気清浄機では、花粉を捕集することが可能です。花粉はウイルスよりもサイズが大きいため、フィルターにてキャッチしやすいと考えられています。モデルにより、除去率や捕集の期待値は異なりますが、室内の空気の状況を整えるために有効でしょう。
空気清浄機により多くの花粉を捕集するためには、花粉の性質についても理解を深めておいてください。花粉は粒子が大きいことから、他の最近と比べて床に落ちやすいとされています。また、表面には棘のようなものがあることから、衣類などに付着しやすいです。
このため、空気清浄機単体で花粉の捕集・除去を行うのではなく、サーキュレーターを活用し、室内の空気が循環しやすくなるよう工夫することをおすすめします。
アレルギー物質の捕集
空気清浄機にはハウスダストをはじめとしたアレルギーの原因となる物質の捕集も期待できるとされています。
ハウスダストとは、埃の中でも肉眼で確認することが難しいものを指し、大きさは1mm以下であることが多いようです。ダニの死骸やフン、ペットの毛、花粉、タバコの煙、カビ、細菌などが該当します。ハウスダストは重量も軽く、人間の動きによって空中を浮遊・移動しています。
ハウスダストの約3割は外から運ばれています。外出中に衣類に付着したり、風に乗って室内に入ってきたりして運ばれているのです。しかし、外出を過度に控えたり、窓を全く開けないようにしたりすることは現実的ではありません。ハウスダストは視認が難しいため、対策のために高機能フィルターを搭載した空気清浄機のような製品を活用するのも一つの有効な方法です。
ただし、空気清浄機はハウスダストの捕集には期待できますが、症状の緩和を保証するわけではないので、稼働させつつ医師の診断を受けることをおすすめします。
加湿効果
空気清浄機には、加湿機能を搭載したモデルが存在します。加湿機能には次のような効果が期待できます。
- 室内の湿度を一定のパーセンテージで維持できる
- 肌や喉の乾燥を緩和できる
空気が乾燥しやすい時期は、湿度の管理が大変です。乾燥した状態ではウイルスが増加する恐れがあり、特に冬の時期は気温も低いため、ウイルスの増加に拍車がかかります。そこで、ウイルス対策の一つとして、部屋の加湿をすることも有効です。加湿機能付きの空気清浄機の中には、キープしたい湿度を40~60%で選べるものもありますので、活用してみてはいかがでしょうか。
また、加湿により肌や喉の乾燥を和らげる効果も期待できるでしょう。一般的に、湿度50%台であれば乾燥による肌への負担は小さいとされています。この程度の湿度であれば、空気清浄機に搭載される機能で加湿・調整が可能といえるでしょう。
また、加湿と空気の清浄化を一台の製品で同時にできる点も魅力です。モデルによっては除湿機能を持つケースもあるようですので、必要に応じて選んでみてはいかがでしょうか。
空気清浄機の効果を感じられない場合の対処法
空気清浄機を使用した上で「効果を感じられなかった」というケースもあるかもしれません。空気清浄機には複数の効果が期待できるとはいえ、それぞれの効果を実感するためには使い方に工夫が必要です。
ここからは、空気清浄機の効果を感じられない場合の対処方法を解説します。
【効果を感じられない場合の対処法】
- フィルターの掃除をする
- 十分なスペースがある箇所に設置する
- 24時間稼働させる
フィルターの掃除をする
原則、空気清浄機はフィルターによって空気中を浮遊する物質をキャッチし、除菌・消臭を行います。そのため、フィルターの手入れは、空気清浄機の効果を存分に発揮させるために必須です。
フィルターそのものに汚れが残っていると当然ながら効果は落ちますので、可能であれば効果が落ちる前に定期的に掃除をしましょう。また、加湿機能がある製品の場合は、水を入れるタンクも同時に清掃することをおすすめします。
フィルター掃除の際は、水洗いや掃除機によるゴミの吸引が手軽にできる方法です。タンクは少量の水を入れて蓋をし、上下に振って洗うとよいでしょう。
十分なスペースがある箇所に設置する
空気清浄機の性能を存分に発揮させるためには、設置場所に注意が必要です。空気を吸い込まなければならないので、家具・家電の隙間への設置は基本的に控えてください。
吸気口をふさがない場所としておすすめなのは、部屋の真ん中です。間取りやインテリア、家具によって設置が難しい場合は、空気の流れがよいエリアであれば構いません。ただし、エアコンの風が当たる場所は、製品によっては推奨されていない場合があるためご注意ください。外から運んでしまう花粉やハウスダストを吸入する目的で使用する場合は、玄関に設置しても問題ありません。
24時間稼働させる
空気清浄機は、常時稼働させて使用することをおすすめします。部屋全体の空気をきれいにするためには、一般的に連続して6時間以上の運転が必要だと考えられているからです。
これまでに以下のような使い方をしていた人は、まずは稼働させる時間を見直してみてください。
- 臭いや埃、花粉などが気になった際に、短時間だけ稼働させる
- 運転時の音が気になるため、長時間は稼働させていない
- 外出時は電源をオフにする
近年の空気清浄機は、静穏性に優れている製品もあります。運転音が30db(ささやき声程度)の製品もあるため、音が気になる人は購入を検討してみてはいかがでしょうか。
24時間稼働させたら電気代はどのくらいになる?
電化製品を常時稼働させる場合、電気代が気になる方も多いかもしれません。目安の金額を計算すると、以下の通りです。
製品 | A | B |
電気代/日(円) | 約4.8円 | 約3.8円 |
※全ての空気清浄機がこの限りではありません。購入の際はあらかじめカタログなどをご参照ください。
※いずれの製品も節電モードやエコモードなどと呼ばれる状態で稼働した場合の金額です。
製品Aの場合、1ヵ月の電気代は144円(4.8円×30日)、Bの場合は114円(3.8円×30日)と推測できます。
空気清浄機の効果を高めるポイント
最後に、空気清浄機の効果を高めるポイントについて紹介します。
【空気清浄機の効果を高めるポイント】
- 定期的にフィルターの掃除をする
- 常に最適な場所に配置する
- エアコンや送風機と一緒に使う
定期的にフィルターの掃除をする
フィルターの掃除は定期的に行ってください。一般的には2週間に一度が目安とされています。フィルターの目詰まりは、空気の清浄効果を低下させる原因になり得ます。掃除の際は、コンセントから電源プラグが抜けている状態で行いましょう。基本的には水洗いで構いません。
フィルターの消耗が激しい場合は、交換を検討しましょう。メーカーや製品にもよりますが、10年に一度の交換が推奨されているものもあります。また、加湿器搭載製品の場合は、水を入れるタンクも同時に手入れするのがポイントです。
常に最適な場所に配置する
空気清浄機は室内の空気を吸入する機械ですので、設置場所が効果に直結する可能性があります。空気清浄機の前後左右30cmにはものを置かないようにしましょう。壁やテレビからは1m以上離すようにしてください。
花粉の補修をしたい場合は玄関に、室内のハウスダストの補修をしたい場合はリビングの中央や寝室の布団の近くなど、それぞれ適した場所が異なります。原因物質が発生する場所または持ち込まれる場所に設置し、周囲にスペースを確保することを意識してください。
エアコンや送風機と一緒に使う
空気清浄機が効果を発揮するためには、空気の流れが必要です。そのため、エアコンや送風機を使用して空気の循環をよくするで清浄効果の向上につながる可能性があり、部屋全体の空気の清浄も期待できるでしょう。
ただし、暖房の風が直接当たる場所や、冷房使用時のエアコンの真下は設置を控えましょう。特に冷房使用時は、エアコンより水漏れが発生する可能性があるためご注意ください。
まとめ
空気清浄機はウイルス対策や花粉、アレルギー物質の捕集や抑制を期待できる電化製品ですが、使い方や手入れの頻度によってはその効果を十分に発揮できないケースもあり得ます。
室内の空気の状態に気を使いたい方や小さなお子さまがいるご家庭などは、空気清浄機の利用を検討してみてはいかがでしょうか。今回ご紹介した内容を参考にしていただき、空気清浄機に期待できる効果と基本性能を理解して正しく使用することをおすすめします。