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必要換気量の基準はどのくらい?計算方法や具体的な換気方法をご紹介

換気は、感染症対策以外にもさまざまなメリットがあります。しかし「換気をする頻度が分からない」「適切な換気方法が分からない」といった悩みがある方、も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、換気に必要な空気量「必要換気量」の概要やその求め方をはじめ、効率のよい換気方法について解説します。また、換気を行うメリットについても紹介しますので、どのように換気すればよいか分からない方はぜひ参考にしてください。

必要換気量とは

必要換気量とは、室内の空気を衛生的に保つための換気における、必要最低限の空気量のことを指します。人は呼吸により、二酸化炭素を排出するため、換気が正しく行われていない場合、室内空気中の二酸化炭素の濃度は徐々に高くなってしまいます。

必要換気量の求め方

必要換気量を確認する方法は2つあります。ここでは、1人あたりの専有面積から求める方法と、床面積あたりの必要換気量に基づいて求める方法の2通りを紹介します。

【1人あたりの専有面積から求める方法】

「必要換気量(/h)=20(㎥/h・人)×居室の床面積(㎡)÷1人あたりの専有面積(㎡)」

上記の「20(㎥/h・人)」は、成人男性が静かに座っている場合の二酸化炭素排出量に基づいた必要換気量です。

【床面積あたりの必要換気量に基づいて求める方法】

「必要換気量(㎥/h)=床面積あたりの換気量(㎥/㎡・h)×室面積(㎡)」

換気の必要性

2003年に建築基準法が改正され、住宅には換気設備の設置が義務付けられました。この法改正は、空気中に漂うホルムアルデヒドなど化学物質の室内濃度を下げることを目的としています。

これにより、原則として全ての建築物に機械式の換気設備(24時間換気システムなど)を設置し、住宅は「1時間半で部屋の半分以上の空気を入れ替えなければならない」と定められました。

法改正前の住宅はこの限りではありませんが、この法律により換気に注目が集まり、日常生活に取り入れる方が増加傾向にあります。

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空調がある施設の空気環境の基準

空調を設けている施設の場合、空気環境の基準におおむね適合するよう調節して供給しなければなりません。ビル管理法における空調がある施設の空気環境の基準は次の7項目あります。

【空気環境の基準】

項目基準
浮遊粉じんの量0.15mg/㎥以下
一酸化炭素の含有率100万分の6以下(=6ppm以下)
二酸化炭素の含有率100万分の1000以下(=1000ppm以下)
温度(1)18℃以上28℃以下 (2)居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと
相対温度40%以上70%以下
気流0.5m/秒以下
ホルムアルデヒドの量0.1mg/㎥以下(=0.08ppm以下)

具体的な換気方法

正しい換気方法を知っておくことで、効率的に室内へ空気が流れやすくなります。ここからは、部屋の換気方法を3つ紹介します。

【部屋の換気方法】

  • 窓・扉を開ける
  • 換気扇の使用
  • 換気設備の使用

窓・扉を開ける

扉を開けることで、室内に溜まっていた空気が廊下側へ流れていくため、室内に古い空気が滞留しなくなります。また、可能であれば窓や扉だけでなく、玄関入口の扉も開けることで外気と室内の空気を入れ替えられるでしょう。窓・扉の両方やいずれかと玄関の扉を開ければ、より効果的に換気ができるためおすすめです。

換気扇の使用

キッチンや浴室、トイレなどに換気扇がある家は、できる限り換気扇を回しておくことをおすすめします。特にキッチンは調理をするため、大きな換気扇が設置されています。これにより、室内の空気を効率的に外へ排出させることが可能です。

ただし、長時間の使用は外気を過剰に取り込んでしまうため、室内の温度が一定に保たれなくなります。快適な温度で過ごせるよう、短時間で換気をするよう心掛けましょう。

換気設備の使用

2003年の法改正により2003年7月以降に建設された住宅であれば、壁や天井に「24時間換気システム」が導入されています。24時間換気システムは、給気口から新鮮な空気を取り込み、排気口から古い空気を外へ出す仕組みです。これを正しく使用することで、窓を開けなくても空気を入れ替えられるため、常に運転させておくことをおすすめします。

換気効率を高めるポイント

換気する時間帯や窓の開け方を工夫することにより、効率を上げることができます。ここからは、換気効率を高める3つのポイントを紹介します。

【換気効率を高めるポイント】

  • 午後の12時~16時ごろを目安に換気する
  • 細かい換気を数回に分けて行う
  • 窓は2箇所以上開ける

午後の12時~16時ごろを目安に換気する

換気は、湿度が低いとされる午後12時~16時がおすすめです。室内の湿気を逃がすことが目的ですので、可能な限り外気の湿度が低い時間帯を狙いましょう。季節によって最適な時間帯が変わるため、次の時間帯を参考にしてください。

春夏:午後12時~16時の間
秋冬:午後12時~14時の間

生活サイクルによって換気ができない場合は、可能な範囲内で行うとよいでしょう。

細かい換気を数回に分けて行う

換気は、数回に分けてこまめに行うとより効果的。1回の換気に時間をかけると、室内の空気と外気がほとんど入れ替わってしまうため、エアコンなどで調節した温度が保たれなくなります。

1回5分程度の換気を1~2時間おきに3~4回を行う方法で空気の入れ替えを行うのがおすすめです。短いスパンで短時間の換気を行った方が温度調節の手間も省けるほか、電気代の節約にもなります。

窓は2箇所以上開ける

窓を2箇所以上開けることで、空気の通り道が作れます。1箇所だけでは空気の入口しか確保できていない状態のため、空気の出入りが悪くスムーズに換気ができません。

大切なのは、対角線上の窓を開けることです。また、入口となる窓は狭く、出口となる窓を広く開けることで、効率的な空気の通り道ができるため、空気の流れに勢いがつきます。これらの点に意識して窓を開けるようにしましょう。

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換気を行うメリット

換気は、空気環境を整えるだけでなく、以下のように健康や住宅に関わるメリットも多く存在します。

【換気を行うメリット】

  • 結露・カビの発生を防げる
  • ウイルスの滞留を防げる
  • シックハウス症候群を防げる
  • リフレッシュ効果を生む
  • アレルギー症状の発生を防げる
  • 冬場なら一酸化炭素中毒を防げる
  • 建物の劣化スピードを軽減できる

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

結露・カビの発生を防げる

空気中に溜まった湿気を外に排出することで、結露やカビの発生を防げるのが換気の大きなメリットです。マンションなど気密性の高い建物は、外との気温差が大きくなり、湿気がこもって窓際やサッシなどに結露が発生しやすくなります。湿気がこもると室内に溜まっている埃が湿るため、カビが生えやすくなり、健康に影響を及ぼすことも少なくありません。湿気を逃がすことでカビの発生を防げるため、こまめに換気を行うことが重要です。

ウイルスの滞留を防げる

ウイルスに感染しないためには、換気によって空気中の滞留を防がなくてはなりません。感染者が咳やくしゃみをすると、飛沫したウイルスが空気中に漂います。ウイルスは自然に消えることはないため、換気を行わない限り部屋中を移動して、感染のリスク範囲を広げてしまう可能性があるのです。家族や自身への感染リスクを低減するためにも換気を行い、ウイルスの滞留を防ぐことが重要です。

シックハウス症候群を防げる

換気には、空気汚染により発症する「シックハウス症候群」の予防に期待できるといわれています。シックハウス症候群とは、建材などから発生する化学物質などによって室内の空気が汚染され、鼻水、頭痛、吐き気から湿疹など人によってさまざまな症状が確認されている健康障害のことです。

近年の住宅やマンションは気密性が高まっているため、「シックハウス症候群」が起こりやすいといわれています。特に新築やリフォーム直後の住宅では意識的に換気を行い、空気の汚染をできるだけ防ぐことが大切だといえるでしょう。

リフレッシュ効果を生む

室内に新鮮な空気を取り込んで、気分をリフレッシュできることも換気に期待できる効果です。換気をせずにいると、呼吸により排出された二酸化炭素が空気中に溜まり、酸素不足となって息苦しさを感じたり思考力が低下したりすることもあり得ます。

空気の入れ替えには、室内の二酸化炭素を排出し、必要な酸素を入れるという大切な役割があります。気分をリフレッシュさせるためにも、換気はこまめに行いましょう。

アレルギー症状の発生を防げる

換気をすることによって、空気中のハウスダストを吸い込んだ際のアレルギー症状の予防の可能性に期待できます。ハウスダストとは、埃の中でも1mm以下と肉眼では見えにくいものを指し、衣類などの繊維くずやダニの死がいやフン、花粉などが該当します。

特に、ハウスダストの一つであるダニは高温多湿の場所を好むため、風通しを良くすることによりダニの繁殖を減らせる可能性がありますので、意識的に換気を行いましょう。

冬場なら一酸化炭素中毒を防げる

換気は、暖房器具を使用した際の一酸化炭素中毒を防ぐ効果があります。特に石油・ガスや薪ストーブなどの古い暖房器具を使用している場合、室内の酸素濃度が低下して一酸化炭素が増加する恐れがあり、場合によっては一酸化炭素中毒を引き起こしてしまいかねません。

一酸化炭素中毒には頭痛やめまい、吐き気などの症状があり、最悪の場合は意識障害が起こる危険性もありますので、寒いからといって換気を疎かにしないようにしましょう。30分~1時間に1回を目安に換気を行うことをおすすめします。

建物の劣化スピードを軽減できる

換気をすることでカビを防ぎ、建物の劣化スピードを軽減する効果も期待できます。部屋の中で発生した湿気をそのままにしておくとカビが発生し、壁や床を傷める原因になってしまいます。家の劣化を防ぐためにも、換気を行い、湿気を外に逃がすことが重要だといえるでしょう。

まとめ

換気には、空気の入れ替えだけでなく、部屋内の空気中に潜むウイルスや化学物質の滞留を防ぐ、あるいは結露やカビの発生を防ぐなどさまざまなメリットがあります。「面倒だから」と換気をせずにそのままにしていると、体調不良につながる可能性があるので注意が必要です。家族みんなが健康的に過ごすためにも、換気は非常に重要だといえるでしょう。

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