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空気感染とは|飛沫感染との違いや空気感染を防ぐ換気方法をご紹介

空気感染とは、ウイルスなどが空気中を浮遊し、それを吸ってしまうことで体内に取り込んでしまう仕組みです。新型コロナウイルス感染症拡大により、メディアなどを通じて空気感染という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

しかし、感染と一口に言っても空気感染のみではなく、接触感染や飛沫感染といった感染パターンもあるため、体調に気を遣う人にとっては違いが気になるところでしょう。

この記事では、空気感染の概要と特徴、他の感染経路との違いなどについて紹介します。

空気感染とは

空気感染では、空気中に浮遊している飛沫核を人間が吸うことによって病気に感染します。吸入により人間の粘膜や結膜に接触することが原因です。感染する病気は飛沫核が持つウイルスや病原体により異なります。

そもそも飛沫核とは、飛沫が持つ水分が蒸発することにより内側の病原体が浮遊したもののこと。飛沫核は飛沫よりもさらに細かい微粒子であるため、空気中で長時間浮遊できるのです。

また、飛沫核と飛沫には重さに違いがあります。飛沫は水分を含んでおり、くしゃみや咳を想像してもらうと分かりやすいでしょう。飛沫が口などから出ると1~2m程度先まで飛びます。一方、飛沫核は水分を含まないため、飛沫よりも遠くまで飛ぶと考えられています。

3 種類の感染経路

ウイルスや病原体に感染する経路には、以下3つの経路があります。

  • 空気感染
  • 飛沫感染
  • 接触感染
感染経路空気感染飛沫感染接触感染
特徴浮遊する飛沫核を吸入することで感染する。感染力は強め。既に病気に感染した人の飛沫(くしゃみや咳)を、感染していない人が吸入することで感染する。経口感染とも呼ばれる。病原体が付着したものを触ることや、感染者と直接接触することで感染する。
主な病気結核、水痘、はしかインフルエンザ、新型コロナウイルス、マイコプラズマ、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)、百日咳新型コロナウイルス、ノロウイルス、インフルエンザ

空気感染と比べた場合、接触感染・飛沫感染は飛沫や感染者が使用したものと接触しないことによって、感染を防げる経路だといえるでしょう。また、昨今世界中で流行している新型コロナウイルスについて、換気がされていない状況などでは空気感染のような感染を起こし得るケースがあるようです。

飛沫感染との違い

空気感染と飛沫感染の相違点は以下の通りです。

感染経路空気感染飛沫感染
特徴浮遊する飛沫核を吸入することで感染する。感染力は強め。既に病気に感染した人の飛沫(くしゃみや咳)を、感染していない人が吸入することで感染する。

飛沫感染と空気感染には、感染しうる範囲に大きな違いがあります。では、なぜ範囲に違いがあるのでしょうか。

2種類の感染経路の違いを理解するポイントは「飛沫」です。飛沫には水分が含まれます。そのため、くしゃみや咳として空気中に出されたとしても、2m以上先へ飛ぶことはほとんどないとされているのです。そのため、飛沫感染は、感染者と一定の距離を保つことで防ぐことが可能だといえるでしょう。

しかし、空気感染の場合は「飛沫核」によって感染します。飛沫核は、飛沫から水分がなくなった微粒子であり病原体を含むため、病気に感染する可能性があります。また、水分が蒸発したことによって微粒子が軽いため、空気中に長時間浮いていることが可能です。空気の流れによっては、飛沫核が発生した場所から隣の部屋に到達することも珍しくないそうです。

空気感染の方が感染する範囲が広いことから、感染症対策も比較的難しいといえるのではないでしょうか。

空気感染で感染る病気の 例

ここでは、空気感染でかかり得る病気について紹介します。

  • 結核

結核菌と呼ばれる細菌が体内に入ることにより、感染する病気です。結核菌では咳やたん、発熱などの風邪に似た症状を発症することが多いとされています。

結核菌は肺の中で増加するため、症状も肺に関するものが少なくありません。しかし、肺以外の臓器(腎臓、リンパ節、骨、脳など)に悪い影響が及ぶケースもあります。小さなお子さまの場合、症状が重くなりやすいだけでなく、症状が目に見えて現れにくいため、お子さまを抱えるご家庭は一層の注意が必要でしょう。

  • 水痘

水痘とはいわゆる「水ぼうそう」のこと。水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルスによって発症します。疱疹の発現前には発熱を伴うことが多いようです。厚生労働省によると、「年間100万人程度が発症し、4,000人程度が入院、20人程度が死亡していると推定」されています。

成人が水痘にかかるケースは少ないようですが、感染した場合の重症化リスクは小児よりも高いとされています。

  • はしか

「はしか」は、麻疹とも呼ばれている病気です。麻疹ウイルスにより感染する、急性の全身感染症。風邪のような症状(発熱、鼻水、咳など)にはじまり、のちに発疹と高熱(39°以上)が現れることが特徴です。

場合によっては、中耳炎、肺炎、脳炎を合併することがあります。先進国において、感染により死亡にいたる割合は1,000人に1人とされています。

空気感染の対策方法

空気感染によってかかるとされている病気の特徴を押さえたところで、次に感染を防ぐ方法を確認しておきましょう。ここでは以下の方法について紹介します。

  • ワクチン接種を受ける
  • マスクを活用する
  • 室内換気を行う
  • HEPAフィルターの付いた空気清浄機を使用する

ワクチン接種

空気感染によって罹患する可能性がある病気は、「結核」「水痘」「はしか」の3種類。それぞれの病気には固有のワクチンが存在するため、それぞれを接種することで感染による症状を抑えられる可能性があります。

・ 結核の場合
BCGワクチンと呼ばれるワクチンがあります。結核の発病予防を期待でき、主に小児の間に受けることが多いワクチンです。

・ 水痘の場合
水痘ワクチンを接種することにより、100%に近い可能性で水痘(重症)の予防ができるとされています。なお、過去に水痘にかかったことがある人は、既に免疫を獲得していると可能性があり、ワクチンの接種対象外となる場合がありますのでご注意ください。

・ はしかの場合
麻しん含有ワクチンと呼ばれるワクチンがあり、接種により約95%の確率で免疫を獲得可能です。はしかは感染力が強いため、ワクチン以外の予防方法では不十分と考えられているようです。

なお、はしかのワクチンにはニワトリの卵ではなく胚細胞が使用されているため、卵アレルギーを原因としたアレルギー反応の心配はないとされています。

マスク

空気感染は、原因となる物質を吸入することで病気にかかるというメカニズムです。そのため、吸入を防ぐ方法としてマスクの活用が挙げられます。

マスクは、想定される粒子や飛沫の大きさが種類によって異なります。一般的な家庭用マスクであれば「花粉の粒子」、ウイルス対策向けのマスクであれば「ウイルスなどの飛沫」の大きさが想定されているのが通常です。

マスクの中でも、細かい粒子の侵入を防ぐことができると特に期待されるのは、「N95マスク」です。このマスクには、0.3μmの微粒子の捕集(飛沫核は0.5μm以下)が期待できます。

室内換気

飛沫核が浮遊している空気を新しいきれいな空気に入れ替えることも、空気感染への対策の一つに挙げられるでしょう。換気の際は、罹患者のいる部屋から廊下などに空気が流れないように気を配ることが大切です。

新型コロナウイルスに関する有識者によると、「換気回数を増やし、室内の空気を外気で希釈・素早く入れ替えること」が換気においては大切なポイントとされています。身近な人が空気感染による感染症にかかった場合は、換気をこまめに行うことが大切です。

HEPAフィルターの付いた空気清浄機

空気感染に対して、比較的手軽な対策方法として空気清浄機の利用も挙げられます。特に「HEPAフィルター」が採用された空気清浄機の活用がおすすめです。

HEPAフィルターとは、蛇腹式に折りたたんだ「ろ紙」によって、空気中の微細粒子を捕集できるフィルターのこと。花粉や細菌はもちろん、製品によってはウイルスやハウスダストなどの捕集が可能なものもあります。空気清浄機の活用は、自宅やオフィスで簡単に空気感染対策をしたい人にとって、手軽に取り入れられる方法だといえるでしょう。

ただし、空気清浄機に期待できるのはフィルターの除去性能ですので、部屋全体の除去性能とは異なる点にご注意ください。

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感染を防ぐための換気方法

前項でも挙げた「換気」について、より効果的な方法をここでは紹介します。換気には、空気感染によって病気にかかる可能性を低くすることが期待できるでしょう。

窓・扉を開ける

まずは基本的な「窓・扉の開放」から紹介します。状況や時期によって以下のように工夫してください。

・ 窓が複数ある場合
対角線上にある窓を2つ以上開けます。空気の流れを作ることで、換気の候率が上がるでしょう。風がうまく入らない場合は、空気の出口となる方の窓を大きめに、入り口となる方の窓を小さめに開けてください。

・ 窓がひとつしかない場合
扉を開け空気を入れましょう。窓は空気の出口となるよう、扇風機で風を送り、空気の流れを作ります。

・ 天候が悪く、窓を開けられない場合
扉を開けて換気をします。扉は常時開けておくることをおすすめします。

・ 冬の場合
部屋の上側にある窓と足元側にある窓をそれぞれ少し開けます。

換気扇の使用

扇風機がない場合や家の構造上、窓が対角線上にない場合は台所などの換気扇の使用をおすすめします。台所の換気扇は排気量が大きいため、効率的な換気が期待できるでしょう。

ただし、換気扇単体では部屋全体を完全に換気することは難しいとされています。換気扇から離れた窓を開けることで換気の効果を上げるのがおすすめです。

換気設備の使用

オフィスなどで換気設備が整っている場合は、ぜひ活用してください。ポイントは設備の電源を、部屋を使用する間だけでなく、常時オンにしておくことです。加えて、換気設備の空気の出入り口が塞がっていないか確認しましょう。塞がっていた場合は、当然効率が落ちるからです。

換気効率を高めるポイント

最後に、換気の効率を高めるためのポイントを紹介します。換気効率を高めることにより、空気中に浮遊する物質による感染の可能性を下げられるだけでなく、気持ちのリフレッシュ効果も期待できるでしょう。

細かい換気を数回に分けて行う

換気は、空気の入れ替え・希薄を目的とします。そのため一度ではなく、複数回に分けて行ってください。具体的には、1時間あたり1~2回、換気の時間は5分程度がよいとされています。

状況や時期にもよりますが、空気を入れ替えるためにはなるべく窓を大きく開けて換気を行うことが大切です。

窓は2箇所以上開ける

換気をする際は、空気が流れる道を作りましょう。これにより、換気の効率を上げることが可能です。対角線上にある窓を複数開けることや、窓から窓の直線距離が長い窓を用いて換気をします。風の流れがうまく作れない場合はサーキュレーターの使用をおすすめします。出口となる窓に向けて設置してください。

また、風の入り口となる窓は足元に近いもの、出口となる窓はより高い場所に設置されているものを活用します。空気の性質(建物内では上昇する)を生かした、賢いやり方といえるでしょう。

まとめ

この記事では、空気感染の特徴や飛沫感染・接触感染との違いを中心に解説しました。健康的に過ごすためにも、空気感染のメカニズムと対策方法について理解しておくことが大切です。

空気感染の対策を行う際に、日常的にできる方法は換気です。窓や扉の開け方を工夫したり、特殊なフィルターを持つ高性能な空気清浄機を取り入れたりするなど、家やオフィスで取り組めることは少なくありません。これを機に、日常的に使うスペースの空気の清浄化について考えてみてはいかがでしょうか。

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