ウォーターサーバーは病院や飲食店だけで見かけていた時代から、各家庭にまで普及が進んでいます。そこで企業の中でも導入する動きが出てきました。
ここでは、職場で使うウォーターサーバーの選び方や、導入するメリット・デメリットをご紹介します。各社で無料お試しレンタルの有無などサポートも異なるので、まずは大まかな特徴や選び方を確認し、ウォーターサーバー選びの参考にしてください。
職場におすすめのウォーターサーバーの選び方
数多くのメーカーが提供しているウォーターサーバーの中から、自社に合ったウォーターサーバーを選ぶには、いくつか選び方のポイントがあります。社内にウォーターサーバーの導入を検討している場合、次のようなポイントを押さえることで、自社の職場に合ったウォーターサーバーを選べるでしょう。
- ウォーターサーバーに搭載されている機能
- 設置場所をどこにするか
- 職場に合ったデザインかどうか
- 水の種類
- メンテナンスの容易さ
続いて、ウォーターサーバー選びのポイントを順にご説明していきます。
搭載されている機能から選ぶ
社内にウォーターサーバーを設置する場合、その職場によって求められる機能が異なります。ウォーターサーバーの種類は以下の4つです。
- 給茶機・ドリンクディスペンサー
- 冷水機(ウォータークーラー)
- ボトル式ウォーターサーバー
- 水道直結型ウォーターサーバー
業務用ウォーターサーバーの中でもメジャーな給茶機は、サーバー内にパウダーの緑茶やコーヒーなどがセットしてあり、湯や水と混ぜることで手軽に緑茶やコーヒーを楽しめます。ドリンクディスペンサーは決まったドリンクが容器にセットされており、ボタンを押すだけで希望のドリンクが抽出。飲食店などに設置されているドリンクバーの機械のようなものです。
来客が多い職場なら、こういったウォーターサーバーがあると、来客対応で用意する飲み物が簡単に抽出できるなどのメリットもあります。つまり、どのような場面でウォーターサーバーが使われるのかを想定してみると、どんな機能が必要かわかるでしょう。
また高機能なウォーターサーバーもあり、タッチパネル式や、ウォーターサーバー内を清潔に保つ機能や炭酸水をつくったり、温度調節したりできる機能のサーバーもあります。
設置場所の広さから選ぶ
一昔前までは、床に置くタイプのウォーターサーバーが主流でした。しかし、近年はさまざまな大きさのものが出回っており、設置場所に応じてウォーターサーバーを選ぶことが可能です。
ウォーターサーバーは、主に「卓上型」と「置き型」に大きく分かれます。設置する予定の場所に合わせて選ぶのがおすすめです。
- 卓上型
コンパクトなタイプのウォーターサーバー。幅や奥行はもう一方の置き型とほとんど同じですが、高さは置き型の1/2程度からあるので、設置場所が限られていても導入できます。気になるウォーターボトルの容量は、置き型と同じものとコンパクトなものがありますし、機能も置き型とほぼ変わりません。
- 置き型
よく見かけるタイプの、床に設置して使うウォーターサーバー。いずれのメーカーも100~120cmほどの高さで、ロングタイプと呼ばれることもあります。ウォーターボトルの位置でさらに「下置き」と「上置き」の2つに分かれ、下置きタイプは下に水のボトルがあるのでサーバーに安定感があるタイプ。転倒の危険が少ないことや、ボトルの交換が容易な点、デザイン性の良さが特徴です。一方、上置きはサーバーの上部にボトルがあるので、水の減り具合が一目瞭然。サーバーに差し込まなくてもボトルを使用できるので、災害時の備蓄水としての役割も担えます。
職場に合うデザインから選ぶ
従来のウォーターサーバーについて、ボトルがむき出しでそっけないデザインを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、近年のウォーターサーバーはデザインや色も豊富であり、グッドデザイン賞を受賞した製品も少なくありません。機能や設置場所だけでなく、職場の設えや内装に合うデザインから選ぶことで、インテリアとして職場に溶け込むウォーターサーバー選びが可能です。
水の種類から選ぶ
ウォーターサーバーにはさまざまな水の種類があり、どんな水にするか、その種類から選ぶこともできます。ウォーターサーバーに使われる水は、次の3種類です。
- RO水
ROとは、Reverse Osmosis(逆浸透)の略であり、目の細かいフィルターになっています。ROフィルターを通して、天然水や水道水にある1,000万分の1mmまでの大きさの不純物を取り除いた水がRO水です。
不純物が取り除かれることで純粋に近い水が飲める一方、ミネラルも取り除かれるので、水が本来持つ風味や旨味もなくなってしまうため、あとからミネラルを加えてあるRO水もあります。
- 天然水
水の中でもっとも思い浮かべやすいのは、「天然水」かもしれません。定義を正確に説明すると、「特定の水源から汲み上げ、飲めるようにした地下水」となります。天然水は不純物を取り除き、加熱殺菌や紫外線照射などが施されていますが、本来の味を損ねない範囲の処置がしてあります。
- ミネラルウォーター
ミネラルウォーターの定義は、「ミネラルを含む地下水が原水」となっている水のこと。コンビニなどで販売されているペットボトルに詰められた水全般をミネラルウォーターと呼ぶことがありますが、正確には次の3種類に分けられます。
特定の水源から汲み上げた地下水を沈殿・ろ過、加熱殺菌以外の処理をしていないものを「ナチュラルウォーター」、ミネラルが含まれた地下水のミネラルを調整したり、複数の地下水を混ぜたりしている水を「ミネラルウォーター」と呼びます。そして、特定の水源から汲み上げたミネラルが含まれている水に、沈殿・ろ過、加熱殺菌以外の処理をしていないものを「ナチュラルミネラルウォーター」と呼ぶのです。
メンテナンスの容易さから選ぶ
ウォーターサーバーの種類によってメンテナンスの容易さが異なります。水のボトルを交換する人を誰にするか想定していらっしゃるでしょうか。例えば、重い物を持つのが苦手な方や力の弱い方を想定しているのであれば、次のような点に注意が必要です。
職場でウォーターサーバーを使う場合は、家庭用と比べて使用量が多いので、容量も多くなります。水の容量が多くなるとそれだけボトルが重くなり、交換も大変。上置きタイプのサーバーだと交換が負担になってしまうことも想定されます。誰でも交換できるようにするためには、足元にボトルを設置できる下置きタイプにするとよいでしょう。
なお、水道直結型のウォーターサーバーならボトルを交換せずにすむので、ボトルの交換がデメリットとして大きい場合はこちらを選ぶのも一つの方法です。
職場にウォーターサーバーを導入するメリット
職場にウォーターサーバーを導入するメリットとして、大きく次の3つが挙げられます。順番に見ていきましょう。
- 来客対応の負担減(メリット)
- 社員への福利厚生や防災対策に(メリット)
- ゴミの排出量削減(メリット)
来客対応の負担減(メリット)
多くの企業にある商談や打ち合わせ。来客が頻繁にあるという会社では、お湯を沸かしたり事前に飲み物を購入したりするため、来客に出す飲み物を用意するだけでも負担がかかってしまいかねません。ボタンを押すだけでお湯や冷水が出てくるウォーターサーバーがあれば、来客対応への負担が減り、社員が本来の業務に集中することが可能です。
結果的に人件費の削減も見込めるので、来客が多い会社は積極的に活用するとよいでしょう。
社員への福利厚生や防災対策に(メリット)
人は誰しも日々水分を摂る必要があり、勤務の際にペットボトルを購入しているケースも多いのではないでしょうか。社内に飲料水がある環境なら、各々で購入していた飲料代がかからず、社員の満足度向上につながります。また、ウォーターサーバーのそばにカフェスペースも併設することで、社員同士がコミュニケーションをとるきっかけづくりにも一役買ってくれるでしょう。
そして何より災害時の備蓄水としてウォーターサーバーの水は活用できるのです。定期的に配送されるウォーターサーバーは、使った分だけ買い足す「ローリングストック」と同じ仕組み。万が一災害で水が止まっても、新鮮な水が飲めるウォーターサーバーはおすすめです。
ゴミの排出量削減(メリット)
社員がそれぞれ飲み物を購入している場合は、毎日ペットボトルや缶、紙パックなどのゴミが出ます。テナントによってはゴミの処分にもお金が発生するケースも少なくありません。ウォーターサーバーの設置により、社員が持ち込むゴミを格段に減らすことができます。社員がマイカップを用意すれば、さらにゴミの量を減らせるでしょう。
職場にウォーターサーバーを導入するデメリット
メリットが多いウォーターサーバーですが、デメリットもあります。職場にウォーターサーバーを導入する3つのデメリットについて見ていきましょう。
- ランニングコストがかかる(デメリット)
- 設置場所を確保する必要がある(デメリット)
- ボトルの交換が大変(デメリット)
ランニングコストがかかる(デメリット)
ウォーターサーバーは、水や電気代のほかにサーバーのレンタル料やメンテナンス料などがかかります。事前にどんな費用がかかるのか確認しておくと安心です。
ランニングコストはメーカーによって差があるので、導入前にいくつかのメーカーを比較してから導入するメーカーを決めるとよいでしょう。
設置場所を確保する必要がある(デメリット)
導入するためにはウォーターサーバーを設置する場所と、交換用ボトルの置き場所が必要。しかも、電源がサーバーの近くにある場所でないと、コードを踏んだり引っかかったりする原因にもなりかねません。スペースを取りにくい場合は、スリム型や卓上型のサーバーのほか、水道直結型のサーバーを選ぶのがおすすめです。
ボトルの交換が大変(デメリット)
水道直結型ではないウォーターサーバーは、水がなくなったらボトルを交換しなければなりません。職場で使うウォーターサーバーはボトルが大きく重いため、交換が手間になるデメリットも。ボトルが上についている上置き型よりも下置き型の方が交換や補充が楽になります。
なかには交換を行ってくれるメーカーもあるので、ボトルの交換が大変な場合は交換してくれるかどうかもチェックしてください。
職場へのウォーターサーバーの導入に関するよくある質問
続いて、ウォーターサーバーを導入する際によくある疑問に対してお答えします。いずれも導入後に困らないように知っておくことが大切です。
職場のウォーターサーバーの水はどのくらいの容量が必要?
ウォーターサーバーのコストで多くを占めるのが水の費用。利用人数を考慮せずに契約すると水が足りなかったり、余ってしまったりします。そうならないためにも、1日あたりに1人がどれくらいの水を消費するのか把握してから契約するのが賢明です。
適切な量を注文するための目安は次の表の通りです。利用人数に対して必要な容量を確認する参考にしてください。
利用人数 | 水の容量目安 | ボトルの本数 |
〜20名 | 120L | 10本 |
〜50名 | 300L | 25本 |
〜70名 | 420L | 35本 |
100名〜 | 600L | 50本 |
職場にウォーターサーバーを導入する際の騒音対策は?
ウォーターサーバーを導入するにあたり、騒音が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、作動音や水が入る時の音などが気になるという意見があるものの、常に騒音が出ているわけではありません。
ただし、サーバーの設置場所があまりにデスクに近すぎる場合や床が凸凹している場合、床の材質によっては部屋中に共鳴して騒音が大きくなる可能性はあります。騒音が気になるようであれば、次のような対策をしてみてください。
- 厚手のカーペットの上にウォーターサーバーを設置したり、下にマットを敷いたりする
- 人のいない場所に設置する
- 壁や家具などから離して設置する
- できるだけ平らな床に設置する
- 静かな音のサーバーを選ぶ
騒音対策を施しても改善されない場合は、パーツがしっかり取り付けられているかを確認しましょう。異常を感じるような騒音であれば、早めにメーカーへお問い合わせください。
レンタルのお試し使用がある?
ウォーターサーバーを導入する前に職場で実際に使用感を確かめたいという方は、一部のメーカーで実施しているお試しレンタルを利用してみてはいかがでしょうか。
ただし、すべてのメーカーで行っているわけではないので、導入を検討しているメーカーでお試しレンタルができるかどうか確認する必要があります。
まとめ
今回は、社内にウォーターサーバーの導入を検討する際のポイントや、メリット・デメリットをご紹介しました。多くのメーカーからさまざまなサーバーが発売されているので、複数のメーカーの製品を検討して自社に合ったウォーターサーバーを導入すると、失敗も少なくなるはずです。無料期間を利用して、使用感を確かめるのもよいかもしれません。
ウォーターサーバーには、福利厚生にとどまらないさまざまなメリットがあります。ご紹介した内容を参考にしていただき、職場に合ったウォーターサーバーを導入してみてはいかがでしょうか。