従業員が自由に利用できる、あるいは来客用の飲み物提供に使用できるなど、ウォーターサーバーにはメリットが少なくありません。事業で使用する場合には、ウォーターサーバー代を経費に計上できるのも大きなポイントです。ただし、ウォーターサーバー代を経費計上する場合には、軽減税率が適用される品目とそれ以外を分けて仕訳をする必要がありますのでご注意ください。
この記事では、ウォーターサーバー代を項目ごとに分けて記載する理由や、消費税率についての注意点について解説します。
ウォーターサーバーの消費税率は項目で異なる
ウォーターサーバー代と一口に言っても、かかる費用は以下のような項目に分けられます。
サーバーレンタル代
ウォーターサーバー本体を借りるのにかかる費用のこと。ウォーターサーバー会社にレンタル料を払い、サーバー本体を借りるのが一般的です。
水代
ウォーターサーバーで使用する水の費用です。ウォーターサーバーの水は定期的にボトルで届くことがほとんど。ウォーターサーバーのレンタル利用料の他に、購入した水の代金を支払う必要があります。なお、水代を費用計上する場合の勘定科目は、ウォーターサーバーの使用目的により異なるのがポイント。一般的に、従業員のために使用する場合は「福利厚生費」、来客用に使用する場合は「接待交際費」の勘定科目を使います。
水の配送代
ウォーターサーバーで使用する水は、契約したウォーターサーバー業者が配送してくれます。水のボトルを配送するためにかかる費用が発生した場合は、契約内容に応じて支払わなければなりません。ウォーターサーバー会社の中には、配送料を無料としているところもあります。
電気代・メンテナンス代
すぐに冷水・温水を利用できるウォーターサーバーは、電気を利用して稼働するものがほとんど。ウォーターサーバーを利用するには、電気料金がかかります。ウォーターサーバー会社に支払う料金ではありませんが、ウォーターサーバーを稼働する上でかかるコストの一つです。
また、ウォーターサーバーを衛生的かつ安全に使用するためには、清掃や定期的なメンテナンスが大切。プロによるメンテナンスを頼んだ場合や、故障した際に修理を依頼した場合は別途費用がかかります。
これらはウォーターサーバーを使う上でかかるコストなので、費用として計上することが可能です。ただし、電気代・メンテナンス代は軽減税率の対象とはならないのでご注意ください。
経理の際に注意したいのは、ウォーターサーバー代は項目によって消費税率が異なるという点。なぜ項目ごとに消費税率が異なるのかというと、上記の項目の中に軽減税率が適用される項目があるからです。
令和元年10月1日に消費税は8%から10%に引き上げられました。これに伴い、品目によっては消費税率8%が引き続き適用される軽減税率制度が実施されたのです。軽減税率の対象となるのは、大きく分けて新聞と飲食料品の2つ。ウォーターサーバー代の中でも、飲食料品に該当する項目については軽減税率の対象となります。
軽減税率の対象?ウォーターサーバーに関する料金の消費税率
ウォーターサーバーに関する料金は上記で紹介した項目に分けられ、項目の中には軽減税率の対象となるものとならないものがあります。ウォーターサーバー代として同じ勘定科目で計上する場合でも、軽減税率の対象となる部分は8%、対象外となる部分は10%に分けて帳簿に記載しなければ名Rません。
では、ウォーターサーバー代の中でも軽減税率の対象となる項目・軽減税率の対象とならない項目はどれなのでしょうか。それぞれの項目の消費税率について、国税庁の回答を引用しながらご紹介します。
お水の代金
ウォーターサーバーで使用する水ですが、基本的にはサーバー代などの他に、月ごとに水代の支払いが発生。定額プランや最低注文数以上のボトルを購入した代金を支払うプランなど、契約プランによって金額は異なります。水代は、軽減税率の対象です。
ウォーターサーバー用の水の販売が軽減税率の対象となるかという質問に対し、国税庁は以下のように回答しています。
「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用に供されるウォーターサーバーで使用する水は、「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。
引用元
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-03.pdf
※4ページ目(ウォーターサーバーのレンタル及びウォーターサーバー用の水の販売)
ウォーターサーバーで使う水は食品ですので、軽減税率の対象となります。したがって、仕訳の際には8%の消費税率で計上できるのです。
ウォーターサーバーのレンタル料
ウォーターサーバーの本体は、レンタル料を払ってレンタルするのが一般的。レンタルの他に、購入したりリース契約を結んだりすることもあります。ウォーターサーバーを借りるためのレンタル料は、軽減税率の対象ではありません。
ウォーターサーバーの本体レンタル料の軽減税率について、国税庁は以下のように回答しています。
軽減税率が適用されるのは、「飲食料品の譲渡」であるため、「資産の貸付け」であるウォーターサーバーのレンタルについては、軽減税率の適用対象となりません。
引用元
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-03.pdf
※4ページ目(ウォーターサーバーのレンタル及びウォーターサーバー用の水の販売)
ウォーターサーバーは「食料品」である水を扱ってはいるものの、サーバーのレンタルに関してはウォーターサーバーという機器の貸付けであるため、軽減税率の対象外です。仕訳の際には10%の消費税率で計上してください。
お水の配送料
ウォーターサーバーで使用する水は、毎月配送されることがほとんど。配送にかかる費用は軽減税率の対象にはなりません。飲食料品の譲渡に要する送料については、軽減税率の適用対象となるかという質問に対し、国税庁は以下のように回答しています。
飲食料品の譲渡に要する送料は、飲食料品の譲渡の対価ではありませんので、軽減税率の適用対象となりません。なお、例えば、「送料込み商品」の販売など、別途送料を求めない場合、その商品が「飲食料品」に該当するのであれば、軽減税率の適用対象となります。
引用元
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-03.pdf
※15ページ目(飲食料品の譲渡に要する送料)
軽減税率の対象となるのは、飲食料品の譲渡の対価である場合。送料についてはこれに当てはまらないため、軽減税率の適用対象とはなりません。配送料を経費計上する際には10%の消費税率で計算してください。
ただし、ウォーターサーバーのプランによっては、送料込みの商品などのように送料が別途かからないものもあります。この場合、水という商品自体が飲食料品に該当するため軽減税率の対象となるのです。
ウォーターサーバー以外!水にかかる消費税率
ウォーターサーバーの水の代金は、軽減税率の対象。しかし、一口に水と言っても、すべての水が軽減税率の対象になるわけではありません。ウォーターサーバーの水以外にかかる消費税率について、合わせてチェックしておきましょう。
ペットボトルの場合
コンビニやスーパーで購入できるペットボトル入りの水。豊富な種類が売られており、購入した経験のある方も多いのではないでしょうか。こうしたペットボトルの水は、軽減税率の対象となります。また水に限らずコーヒーやジュースなどの飲料品も、軽減税率の対象。自動販売機で購入した場合であっても同様です
ただし、飲み物すべてが、軽減税率の対象になるわけではありません。国税庁では、「飲食料品」の範囲について以下のように回答しています。
軽減税率の対象品目である「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除きます。以下「食品」といいます。)をいいます。食品表示法に規定する「食品」とは、全ての飲食物をいい、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に規定する「医薬品」、「医薬部外品」及び「再生医療等製品」を除き、食品衛生法に規定する「添加物」を含むものとされています。なお、ここでいう「飲食物」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいます。
引用
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-03.pdf
※1ページ目(「飲食料品」の範囲)
国税庁の回答によると、軽減税率の対象となる飲食品とは、酒類および医薬品・医薬部外品・再生医療等製品を除いた飲み物のこと。酒類とはお酒のことです。ビール、発泡酒、⽇本酒、料理酒などは酒類ですので、缶やボトルに入っていたとしても軽減税率の対象外。また、医薬品・医薬部外品・再生医療等製品とは、栄養ドリンクなどのこと。飲み物であっても医薬部外品に当たる栄養ドリンクもまた軽減税率の対象外となるのでご注意ください。
水道水の場合
自宅や事務所にある水道水は飲料として使用することもできますが、水道水は軽減税率の対象ではありません。水の販売は軽減税率の対象となるかとの質問に対し、国税庁は以下のように回答しています。
「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用に供されるものであるいわゆるミネラルウォーターなどの飲料水は、「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。
他方、水道水は、炊事や飲用のための「食品」としての水と、風呂、洗濯といった飲食用以外の生活用水として供給されるものとが混然一体となって提供されており、例えば、水道水をペットボトルに入れて、人の飲用に供される「食品」として販売する場合を除き、軽減税率の適用対象となりません。
引用元
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-03.pdf
※3ページ目(水の販売)
前述の通り、販売されているミネラルウォーターなどの飲み物は軽減税率の対象となります。しかし、水道水は飲料以外の使途と判別できにくいため、軽減税率の対象外です。
氷の場合
飲み物を提供する際に使われることの多い氷は、軽減税率の対象となるのでしょうか。氷の場合は使い方によって税率が異なります。氷の販売は軽減税率の対象となるかとの質問に対し、国税庁は以下のように回答しています。
「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用に供されるものであるかき氷に用いられる氷や飲料に入れて使用される氷などの食用氷は、「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。
なお、例えば、ドライアイスや保冷用の氷は、人の飲用又は食用に供されるものではなく、「食品」に該当しないことから、その販売は軽減税率の適用対象となりません。
引用元
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-03.pdf
※3ページ目(氷の販売)
氷の場合、軽減税率の対象となるのは食品に該当するかどうか。回答例にある通り、かき氷として氷を食べる場合や飲み物のグラスに入れて使用する場合は食品に該当するため、軽減税率が適用されます。一方で、食用として用いられない氷は軽減税率の対象外です。
まとめ
会社や事務所でウォーターサーバーを利用するケースは少なくありません。従業員のためやお客様のためにウォーターサーバーを設置する場合には、経費として計上することが可能です。経費として計上すれば節税対策にもなりますので、大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、経費計上する際に注意したいのは、ウォーターサーバー代の消費税率は項目による異なるということ。消費税率が異なるのは、軽減税率の対象である項目と対象外の項目があるからです。同じ勘定科目を用いた場合でも、軽減税率の対象となる項目とそれ以外の項目は分けて記載しなければなりません。
ウォーターサーバー代を経費とする場合は、軽減税率の対象となる部分をしっかりと確認し、正確な帳簿記載を心がけることが大切です。